2011年11月
2011年11月26日
見捨てられた預託農家
安愚楽牧場が民事再生(清算型)から破産手続きに至る間、預託農家優先に牛の売却を進めるという報道がなされましたが、現実はまるで違っていました。
うちを含め、いくつかの預託農家は早い段階から買取の意向を示しているにもかかわらず、代理人・管財人は何の相談もなく大手食肉業者に販売していったのです。預託農家の知らないところで取引され、いつの間にか牛は転売されてしまっていたのです。。。
さかのぼると、8月頃から牛の出荷が日々続きました。それは、適齢期に満たない牛が早期出荷され、牛肉として換金されるということです。牛飼いとしては、適正な月齢で出荷するのは達成感で満たされ、胸を張って送り出せるのですが、早期に出荷されるのは牛に対して本当に申し訳なく、忍びない思いがしてなりませんでした。民事再生に入ってからも、その動きは加速化され、6ヶ月以上もの早期出荷がされるようになりました。若い牛(肉)が食肉流通に出回ることにより、肉の相場が下がり他の畜産農家にも多大な被害が及ぶのです。このままでは日本の畜産の崩壊も避けられないのです。
どうにか阻止できないものかと弁護士に相談し、商事留置権を行使することにより一時的に若齢出荷を止めることが出来ました。それも束の間の出来事です。今度は食肉業者に牛たちの販売が始まったのです。
安愚楽牧場から食肉業者に権利が移り、契約をしなおさなければならないのですが、食肉業者が提示する預託というのは、これまでの「預託契約」とは大きく異なっているのです。食肉として換金されるまでの半年〜1年の「一時預り契約」だったのです。つまり、現在牧場にいる牛たちが出荷されてしまえば終わる。。。
私たち農家が継続性のある正規の「預託契約」であれば納得できるのですが、「一時預かり契約」だと、約1年〜1年半後には牛飼いとして存続できなくなるというわけです。その場しのぎでも、その道を選択せざるを得ない預託農家が殆どなのも現実です。
その間にも牛の出荷は徐々に行われ、飼養頭数は減っていく。。。新たな仔牛の導入もなく、預託農家はまさに真綿で首を絞めるらるような壮絶な苦しみとともに畜産経営の終焉を迎えなければならないのです。
そこで、こんな惨めな想いはしたくない僕たちは、梶岡牧場で牛を買い取る事を決断しました。資金手当てをし、買い取り交渉に入りました。
ですが、九州地方の預託農家の牛は一括して大手の食肉業者に売却され、買い取りが出来ない状態になっているのです。
報道では、預託農家優先で売却をすすめていると有利な方向へ進んでいるように見えますが、現実には真逆でこのような状況、見捨てられた感が否めないのです。
このことは梶岡牧場の代理人でもあり、安愚楽牧場預託農家弁護団 柿内弘一郎 弁護士の情熱あふれるブログでも書かれてます。
こんな状況では「そっと命を捧げてくれる牛たち」に本当に申し訳ない。。。
そして「美味しい笑顔の食卓という最高の舞台」に自分の手から送り出してやれない悔しさばかりが。。。
サムライ・カウボーイが本当の「サムライ魂」を見せなければならない時が来たようです。。。
まさに今、武者震いがしてます!!
2011年11月25日
和牛オーナーと預託農家の想い
安愚楽牧場に投資していたオーナーは、「銀行より少しだけいい金利、高配当」を期待していただけの投資だったのだろうか?「畜産支援、和牛の所有オーナーという満足感、投資家オーナーが日本の畜産を支えている」という気持ちもあったのではなかろうか?
少なくとも、僕たち牛飼い農家は、後者の思いを持った人が多分にあると思いたい。
原点に返ると、和牛投資オーナー制度が始まった当初はこの思いが経営者側もオーナー側も強かったはず。。。畜産経営は投資する額が大きく、投資期間も長い。。。その上、エサ・仔牛・枝肉と三つの相場にコントロールされ、投資額の割に儲けが少ない業種。さらにここ10年はBSE、口蹄疫、セシウム牛肉問題と次々に降りかかる火の粉、ハイリスク、ローリターンを絵に描いたような現状。。。
だから、自己資本を持たない畜産農家は借入資本では経営を継続していくことが難しく、資本家の預託農家にならなければ畜産経営を安定したカタチで続けていくことはできませんでした。
これは、畜産に限らず農業全般に言える事なんです。そうでなければ政府も農業にあれだけの補助金を投下できるはずがありません。そして、極めつけに起こった安愚楽事件は現在の日本国農業の現実を浮き彫りにした事件なのです。
日本の和牛の約2割を保有していた安愚楽牧場と投資オーナーのおかげで、僕たち預託農家は日本の和牛を守れるんだ!と信じ、日々牛たちの世話をしていたのです。
オーナーの思いは違ったとしても、365日休みなく行われる労働に対して「不満足な対価」であるこの牛飼いの仕事。。。
それでも心が折れずに牛飼いを続けてこられたのは「おいしい!」と喜んで食べてくれる生活者の皆さんの笑顔と「いただきます。」が「お金に変えられない大きな対価」として僕たちにキチンと届いていたからなんですよ。。。
あわせて読んで頂きたい!梶岡牧場の代理人でもあり、
安愚楽牧場預託農家弁護団 柿内弘一郎 弁護士の情熱あふれるブログ、
必読です!
少なくとも、僕たち牛飼い農家は、後者の思いを持った人が多分にあると思いたい。
原点に返ると、和牛投資オーナー制度が始まった当初はこの思いが経営者側もオーナー側も強かったはず。。。畜産経営は投資する額が大きく、投資期間も長い。。。その上、エサ・仔牛・枝肉と三つの相場にコントロールされ、投資額の割に儲けが少ない業種。さらにここ10年はBSE、口蹄疫、セシウム牛肉問題と次々に降りかかる火の粉、ハイリスク、ローリターンを絵に描いたような現状。。。
だから、自己資本を持たない畜産農家は借入資本では経営を継続していくことが難しく、資本家の預託農家にならなければ畜産経営を安定したカタチで続けていくことはできませんでした。
これは、畜産に限らず農業全般に言える事なんです。そうでなければ政府も農業にあれだけの補助金を投下できるはずがありません。そして、極めつけに起こった安愚楽事件は現在の日本国農業の現実を浮き彫りにした事件なのです。
日本の和牛の約2割を保有していた安愚楽牧場と投資オーナーのおかげで、僕たち預託農家は日本の和牛を守れるんだ!と信じ、日々牛たちの世話をしていたのです。
オーナーの思いは違ったとしても、365日休みなく行われる労働に対して「不満足な対価」であるこの牛飼いの仕事。。。
それでも心が折れずに牛飼いを続けてこられたのは「おいしい!」と喜んで食べてくれる生活者の皆さんの笑顔と「いただきます。」が「お金に変えられない大きな対価」として僕たちにキチンと届いていたからなんですよ。。。
あわせて読んで頂きたい!梶岡牧場の代理人でもあり、
安愚楽牧場預託農家弁護団 柿内弘一郎 弁護士の情熱あふれるブログ、
必読です!