2006年06月19日

血統書付きのステーキと僕の信条

6月14日(水)のKBC放送「アサデス。」で、梶岡牧場の安愚楽ステーキが紹介された。
http://www.kbc.co.jp/tv/asadesu/


そのせいだろうか、安愚楽ステーキをほぼどのテーブルでもオーダー頂いた。m(__)m
ほんとにありがたいことです。

このステーキには血統書が付いているのでサービスの際、お見せするようにしている。
それには、その牛の名前、鼻紋(人間でいう指紋のようなもの)、曾じいさんまでの家系図などが記されている。
世界中にある牛肉の中で、ここまできちんとした血統書を持つ牛肉は日本の黒毛和牛だけ。それを育てている者としては食べてもらう人にそれを伝えたい。

でも、それが食べる人にとって必要かどうか、どう感じるかは、その人の価値感で大きく違いが出ることに気づいた。
ある人は興味深く、血統書に書いてある項目も「これは何?」「どういう意味?」と質問され、会話もよりマニアックな飼育のことまで及んだりすることもある。
一方、口には出されないが、血統書とか「リアルな話は聞きたくないわ。私は美味しくお肉を頂きたいの。」という感じの方もいらっしゃる。

生産者が伝えたいと思ったことが、必ずしも求められていることではないのかなぁ〜と少し考えさせられることがしばしばある。

そんなとき、大学時代の恩師が僕たち学生に質問したフレーズがいつも頭をよぎる。
「今まで食べた中で一番美味しい思ったのは何?」
「なぜ美味しいと思ったのか?」
「ではそれを食べたときの状況は?(誰と・どこで・どんな雰囲気の中・健康状態・精神状態は?)」
→「美味しく感じるのは人それぞれの考え方、状況によるところが大きい。」と。

でも、すべての人に僕の気持ちは伝えたい。。。
芸術品ともいわれる世界最高の霜降り具合は、血統も大切だが、それを活かすかどうかは管理次第。
そこはサムライ・カウボーイの腕の見せ所。気の遠くなるような作業を365日、一頭一頭の健康状態を確かめながらやっている。
また抵抗力の弱い仔牛の世話は人間の赤ちゃんと同じように一時も気が抜けない。
まさに「生と死」が隣り合わせにある毎日は厳しいし、こうして一生懸命育てたものだからこそ、きちんとした扱いをし、食べ方をしなければと思う。
「きちんと命をいただく。。。」それは食材に対する礼儀だと思う。
同じひとつの命をいただくのであれば、「美味しい」といってもらえるような牛に育ててやりたい。これが僕の信条である。



だからこそ美味しく食べて頂き、そしてそれを「心に残る思い出」にして頂けるよう伝え方をもっと工夫しなければ。。。
そして僕が大学時代に質問されたことと同じ質問をされたときに「梶岡牧場で食べた血統書付きのステーキが一番美味しかったよ。」といわれるよう日々頑張りますね。

samurai__cowboy at 04:41│Comments(0)TrackBack(0)

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