2011年11月25日

和牛オーナーと預託農家の想い

 安愚楽牧場に投資していたオーナーは、「銀行より少しだけいい金利、高配当」を期待していただけの投資だったのだろうか?「畜産支援、和牛の所有オーナーという満足感、投資家オーナーが日本の畜産を支えている」という気持ちもあったのではなかろうか?
 少なくとも、僕たち牛飼い農家は、後者の思いを持った人が多分にあると思いたい。
 原点に返ると、和牛投資オーナー制度が始まった当初はこの思いが経営者側もオーナー側も強かったはず。。。畜産経営は投資する額が大きく、投資期間も長い。。。その上、エサ・仔牛・枝肉と三つの相場にコントロールされ、投資額の割に儲けが少ない業種。さらにここ10年はBSE、口蹄疫、セシウム牛肉問題と次々に降りかかる火の粉、ハイリスク、ローリターンを絵に描いたような現状。。。
 だから、自己資本を持たない畜産農家は借入資本では経営を継続していくことが難しく、資本家の預託農家にならなければ畜産経営を安定したカタチで続けていくことはできませんでした。
 これは、畜産に限らず農業全般に言える事なんです。そうでなければ政府も農業にあれだけの補助金を投下できるはずがありません。そして、極めつけに起こった安愚楽事件は現在の日本国農業の現実を浮き彫りにした事件なのです。
 日本の和牛の約2割を保有していた安愚楽牧場と投資オーナーのおかげで、僕たち預託農家は日本の和牛を守れるんだ!と信じ、日々牛たちの世話をしていたのです。
 オーナーの思いは違ったとしても、365日休みなく行われる労働に対して「不満足な対価」であるこの牛飼いの仕事。。。
 それでも心が折れずに牛飼いを続けてこられたのは「おいしい!」と喜んで食べてくれる生活者の皆さんの笑顔と「いただきます。」が「お金に変えられない大きな対価」として僕たちにキチンと届いていたからなんですよ。。。


あわせて読んで頂きたい!梶岡牧場の代理人でもあり、
安愚楽牧場預託農家弁護団 柿内弘一郎 弁護士の情熱あふれるブログ、
必読です!


samurai__cowboy at 08:51│Comments(0)TrackBack(0)牛飼い | 牛肉

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